3 任意整理のメリット、デメリット
ここでは任意整理とよく似た債務整理方法である特定調停と比較して、任意整理のメリット、デメリットについて、述べてみましょう。なお、特定調停は、債務者本人が行う場合とします。
任意整理のメリット
- 任意整理の場合、認定司法書士、弁護士が債権者に受任通知を出すことで、債権者からの催促が止まる。
- 任意整理の場合、認定司法書士、弁護士が債権者から取引明細を取り寄せ、利息制限法の上限利息に引き直して計算することで、特定調停の場合に比べて、債務額がより多く減額される。(※1) ※1 特定調停の場合も、調停委員が債務者から取り寄せた取引明細をもとに減額が行われることも多いのですが、通常、その取引明細は債務者に見せられることはなく、減額の過程を債務者本人が検証することが難しい場合も少なくないようです。 また、債務者が債権者に取引明細の開示を求め、取引明細を手に入れることができる場合もありますが、一般的にいって、任意整理などの過程で認定司法書士、弁護士が開示請求した場合に比べて、開示の成功率はかなり低いようです。
- 任意整理の場合、特定調停の場合に比べて、返済期間を長くすることができることがある。
- 特定調停の場合、将来利息をつける結果になることもありうるが、任意整理の場合は、将来利息をつけることはほとんどない。
- 特定調停の場合、最終の弁済日から和解日までの遅延損害金をそのままつけることが多いが、任意整理の場合、原則として遅延損害金はつけない。
- 特定調停の「調停調書」は、「債務名義」となり、支払が遅れると調停調書をもとにすぐに給料差押えなどの強制執行をされるおそれがあるが、任意整理の「和解書」「示談書」の場合は、これをもとにいきなり強制執行することはできない。
- 任意整理の交渉の過程で、過払金返還に成功することがある。(※2) ※2 通常、債務者本人による特定調停の場合には、このようなことは考えにくいといえます。過払金返還請求をするためには、別途、訴訟などを提起して、ということになるでしょう。
任意整理のデメリット
- 任意整理の場合は、認定司法書士、弁護士への着手金・報酬などが必要であり、特定調停に比べて費用がかかる。
- 任意整理の場合、認定司法書士、弁護士と債権者との交渉で事が進められるので、債務者の方が不安になることがある。(※3) ※3 一般的にはこのようにいわれますが、きちんと債務者の方に、任意整理の進行状況や途中経過を報告する認定司法書士、弁護士であれば、このような不安はかなり少なくなると思います。もちろん、当事務所では、なるべくきめ細かに報告するようにしています。
4 認定司法書士と任意整理
認定司法書士も弁護士と同じく、債務者の方の代理人となって任意整理をすることができますが、それにはひとつ条件があります。 それは、
任意整理によって得られる利益が、債権者1社(または1人)あたり140万円以下の場合でなければならない
ということです。
つまり、ある債権者主張の債務額が150万円であり、利息制限法引き直しの結果、債務額が10万円となれば、任意整理によって「得られる利益」は、140万円であり、司法書士が代理することができます。(※4) ※4 一般的にはこのようにいわれますが、きちんと債務者の方に、任意整理の進行状況や途中経過を報告する認定司法書士、弁護士であれば、このような不安はかなり少なくなると思います。もちろん、当事務所では、なるべくきめ細かに報告するようにしています。
任意整理によって得られる利益が、債権者1社(または1人)あたり140万円を超える場合は代理することができず、任意整理の代理人となっている場合には、代理権を失います。
問題はあくまでも「得られる利益」であり、債権額が140万円を超えていると認定司法書士が任意整理の代理ができないということではありません。
また、あくまでも「債権者1社(または1人)あたり」140万円以下であり、この条件を満たしていれば、債権者が数社(数人)いる場合で、得られる利益の合計が140万円を超えていても、認定司法書士は任意整理の代理人となることができます。


